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【オンライン】現場で役立つ実践的アプローチを学ぶ!ハーム・リダクション実践講座の理論編に参加しました。
現在の日本のメンタルヘルス業界では「ハームリダクション」は依存症治療とセットで語られることが多いけれど、海外では快適・平穏な暮らしを手に入れるための手段としてハームリダクションという考え方・アプローチが取り入れられています。
ため込み症・ハームリダクションの専門家による講演
日本ライフオーガナイザー協会が毎年開催している年次総会(カンファレンス)では海外の団体からゲストを迎え様々なテーマで講演をしていただいています。
2018年には「Hoarders(ホーダーズ)」というため込み症へのチーム介入を取り上げたテレビ番組にも出演しているドロシーさんによる講演
→「祝10周年!JALO2018大阪カンファレンス開催レポート(5)」(日本ライフオーガナイザー協会公式ウェブサイト)
2023年にはオランダのプロフェッショナルオーガナイザー ヒルデさんによるハームリダクションに関する講演を行っていただきました。
→「JALO2023カンファレンス(2023年12月6日(水)・7日(木))」(日本ライフオーガナイザー協会公式ウェブサイト)
今回の講座は、講師が松本俊彦先生なので薬物治療や依存症治療のお話がメインになりますが、ハームリダクションのエッセンスを少しでも学びたいと思い参加しました。
ハーム(害)リダクション(軽減)はもともとは依存症治療ではなく公衆衛生の視点で実践されるもので、健康被害や社会的被害の最小化を目指し、行動そのものの“完全禁止”よりも「被害軽減」を優先する戦略です。
基本原則は
- 尊重(Respect)…対象者の価値観・選択を否定しない
- 段階的介入(Gradualism)…小さな変化を積み重ねる
- 柔軟性(Flexibility)…介入計画はいつでも見直し可能
最大の「害」、周囲との関係性の断絶や支援拒否による環境悪化を防ぐためにゆるやかに向き合います。
ため込み症への対応でこれまでの“禁止・排除”型アプローチでは届きにくかった領域に対し、ジャッジをせず現状の把握からスタート、小さなきっかけを特定してよりよい変化につながる支援を行います。
- 継続的関係構築
- より安全な方法への介入
- ピアサポートの推進
足立区や大阪の豊中市のように地域コミュニティで寄り添い支える環境も準備されつつあります。
「本人の気持ちに寄り添った”解決”とは?」(NHK地域づくりアーカイブス)
https://www.nhk.or.jp/chiiki-blog/300/242088.html
ADHDや脳の特性で片づけが難しい状況にある方の支援にもハームリダクションが有効
完全な成功ではなくゆるやかな変化を重視するハームリダクションは、様々な片づけ支援の現場でも活用できます。
ADHDと片づけのハードルにはこのような点があります
- 衝動性・注意散漫:「途中で気が逸れる」「完了感を感じにくい」
- 時間管理の難しさ:作業にかかる時間を見積もれず、途中で断念しやすい
- 自己責任感のプレッシャー:「できない=自分がダメ」と捉えてしまう
ハームリダクション的な支援では
- 尊重(Respect)をベースに
「できたこと」をまず認める。ミスや中断をジャッジせず、支援者と「味方同士」であることが伝わる姿勢
- 段階的介入(Gradualism)で小さく始める
- タイマー活用:5分だけ引き出しの中をチェック。
- 可視化ツール:「進捗確認シート」に“できた分”を色付け。
- 柔軟性(Flexibility)ある計画作り
- 当日の体調や気分でタスクを選べる「お助けリスト」を用意。
- 達成ペースが遅くてもプランを調整し、「今日のノルマ」を下方修正できる余地を残す。
今、片づけで悩んでいる方は「すぐに」「完全に」この状況を改善「しなければいけない」と悩んでいる方もいます。
ハームリダクションという言葉が、片づけ支援の場でも当たり前に使われるように学び・広げていきたいと思いました。
後半の実践編の講座も楽しみです。

ライフオーガナイザー®として、特にADHD傾向のある方や片づけが苦手な方をサポート。完璧主義や罪悪感、思い込みなど、片づけの障害となる心理的要因に寄り添い、無理なく続けられる仕組みづくりを提案しています。
2012年からこの分野を学び、2023年にアメリカの専門団体「Institute for Challenging Disorganization®」にて日本人初のCPO-CDを取得。
「片づけの負担を減らし、自分らしい人生を楽しめる人を増やしたい」との思いで活動中。