先日、2026年3月24日に開催されたJCO交流会にて、「多様な片づけられない要因への視点 〜『セオリーが通じない壁』を越えるために〜」というテーマで登壇させていただきました 。

全国からご参加いただいた片づけ・整理収納のプロの皆様、熱心に耳を傾けてくださり、本当にありがとうございました!
そのセミナーでお話しした重要なエッセンスと、私たちの「次なるステップ」について書きたいと思います。
現場で直面する「決定的なズレ」の正体
プロとして現場に立っていると、こんな経験はありませんか?
「次回までに要・不要を分けておいてくださいね」と伝えたのに、全く進んでいない。
「メルカリで売るかリサイクルショップへ持っていきましょう」と提案したら、クライアントの表情が曇ってしまった。
プロとして正しい収納術を一生懸命提案しているのに、なぜかクライアントの手が止まってしまう。この時、私たちはつい「やる気がないのかな?」「私の力不足かな?」と悩んでしまいがちです。
しかし、このすれ違いの正体はやる気の差ではありません。背景にある「見えない要因(脳の機能低下や心理)」への理解の差なのです。
片づけは気合いではなく「脳の総力戦」

セミナーの冒頭でお伝えしたのは、「片づけは、脳の全機能を総動員する『超高度な活動』である」ということです。
計画を立て、カテゴリーに分類し、優先順位をつけ、決断する……。これらは脳の司令塔である「実行機能」がフル回転して初めて成立します。だからこそ、ちょっとした「脳の不調」で、人は簡単に動けなくなってしまうのです。
現場で私たちの前に立ちはだかる「見えないブレーキ」には、様々なものがあります。
例えば
- うつ状態・慢性疲労:決断するための脳のエネルギーが空っぽの「ガス欠状態」。決して怠けではありません。
- ためこみ症(ホーディング):モノが「自分を守る盾」になっているため、手放すことに身を切られるような恐怖を感じます。
- 身体・環境要因:リウマチ等の痛みや、介護・死別(グリーフ)などの極度なストレスによるキャパオーバー。
クライアントの心の中では、「綺麗にしたい」という本音と「手放すのが怖い」という本音が激しく綱引きをしています。アクセルとブレーキを同時に踏み込んで煙が出ている状態(アンビバレンス)だからこそ、身動きがとれないのです。
プロに求められる「3つの視点の転換」
これらを踏まえ、現場の最前線に立つ私たちが今日からできるマインドの転換をお伝えしました。
- 正解のロープを手放す
私たちが「捨てましょう」と正論のロープを引っ張るほど、相手は逆側にしがみつきます。まずはロープを手放し、安心できる「安全基地」になること。 - 「なぜできない?」を「何がブレーキ?」に変える
相手をコントロールするのではなく、一緒に行動のブレーキを探る眼差しを持つこと。 - 境界線を引き、多職種と連携する
自分の力不足だと一人で抱え込まず、必要に応じて医療や福祉の専門家と連携すること。
2024年の障害者差別解消法の改正により、民間事業者にも「合理的配慮の提供」が義務化されました。特性を理由にした一律のサービス拒否はできず、「知らないから対応できない」はもはや通用しない時代です。
多様な要因を知ることは、単なる優しさではなく、これからのビジネスを継続するための必須のコンプライアンスでもあります。

今回のセミナーでお話ししたのは、多様な要因の全体像です。
「じゃあ、実際に現場でどう声かけをすればいいの?」「特性を持つ方に、どうアプローチすればいいの?」と、さらに一歩踏み込んだ実践的な知識を求めている方も多いと思います。
そこで、CD(慢性的に片づけられない状態)についてより深く、体系的に学びたいプロの方向けに、基礎知識講座を開催いたします

【CD状態にあるクライアントの基礎知識講座】
日時:2026年4月14日(火) 9:30〜12:30
内容:
- CD状態という「症状」の基本を知る
- クライアントと関わるときのポイントを知る
- 片づけ以外の生きにくさを知る
▼お申込み・詳細はこちら
私たちの「正しい」を一旦手放し、クライアントの背景にある痛みに寄り添うこと。「成功のゴール」を相手に合わせて変えていくこと。
それが、プロとしての圧倒的な信頼と、他では解決できなかったクライアントを救う力になります。
「セオリーが通じない壁」を一緒に越え、より深い支援ができるプロフェッショナルを目指しませんか?
講座で皆様とお会いできるのを楽しみにしています!

ライフオーガナイザー®として、特にADHD傾向のある方や片づけが苦手な方をサポート。完璧主義や罪悪感、思い込みなど、片づけの障害となる心理的要因に寄り添い、無理なく続けられる仕組みづくりを提案しています。
2012年からこの分野を学び、2023年にアメリカの専門団体「Institute for Challenging Disorganization®」にて日本人初のCPO-CDを取得。
「片づけの負担を減らし、自分らしい人生を楽しめる人を増やしたい」との思いで活動中。


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