突然ですが、「世界片づけの日」という日があるのを、聞いたことはありますか。
毎年5月20日。アメリカの整理収納業界が制定した、片づけの国際デーです。日本ではまだそれほど広く知られていないけれど、世界では「物との関係を、一度ちゃんと見つめてみよう」という静かな呼びかけが、この日を通して続けられています。
整理収納のテクニックの話、ではないんです。今日はその日についてお話ししてみたいと思います。
世界片づけの日(World Organizing Day)とは
世界片づけの日──英語ではWorld Organizing Day(ワールド・オーガナイジング・デー)と呼ばれています。毎年5月20日。
制定したのはIFPOA(International Federation of Professional Organizing Associations/国際プロフェッショナル・オーガナイジング協会連盟)。世界各国の整理収納業界団体が加盟する国際連盟で、日本からはJALO(日本ライフオーガナイザー協会)が加盟団体として参画しています。
この日のテーマは、ひとことで言えば「Organize for a better life(よりよい暮らしのために整える)」。
ただ、整理整頓のテクニックを広めるための日ではありません。“「片づけ」という行為を通して、自分の暮らしや働き方、そして物との関係を見直してみよう” そんな問いかけを世界に向けて発信する1日として位置づけられています。
誰が、なぜこの日を決めたのか──IFPOAと各国の整理収納団体
世界各国には、「Professional Organizer(プロフェッショナル・オーガナイザー)」という、家庭やオフィスの片づけを専門家として伴走する職業が存在しています。日本でいう「ライフオーガナイザー」「整理収納の専門家」に近い職業です。
その各国の業界団体が連携してつくられたのが、IFPOA(International Federation of Professional Organizing Associations)。アメリカ、カナダ、ブラジル、イタリア、フランス語圏、フィンランド、オランダ、スペイン、スウェーデン、イギリス、中国、韓国、そして日本(JALO/日本ライフオーガナイザー協会)など、複数の国の整理収納業界団体が加盟する国際連盟です。
そんなIFPOAが「整理収納という営みを、もっと社会に開いていきたい」という思いで設けたのが、このWorld Organizing Day。
IFPOAの公式ウェブサイトには、当日の過ごし方の提案や、世界中のオーガナイザーが発信するメッセージがまとめられています。
整理収納にも、ちゃんと文化があるんだな、とそう感じさせてくれる日です。
「片づけ」を超えて〜物との関係を見直す日として

「片づけ」という言葉を聞くと、多くの方が「物を整理する」「収納をきれいにする」というイメージを思い浮かべるかもしれません。
でも、わたしがこの仕事を続けていく中で、一番大事だと感じているのは、物を動かすことよりも、物と自分との関係を見直すことなんです。
この服は、いまの自分にとって、どんな意味があるんだろう。この本は、なぜずっと本棚の同じ場所にあるんだろう。この道具は、これからの暮らしの中で、どんな場所にいてほしいだろう。
そんな問いを、自分に投げかけてみて、すぐに答えが出なくてもいい。それ自体が、ひとつの気づきだったりもします。
世界片づけの日は、そういう問いかけを、世界中の人が同じ日に少しだけ立ち止まってやってみる。そんな日なんじゃないかと、わたしは思っています。
整える、というより、見つめ直す。手放す、というより、関係を結び直す。
当日、何をしてみる?〜5分・15分・60分の小さな過ごし方
「じゃあ当日、何をすればいいの?」
そう聞かれることが多いので、3つだけ、小さな提案があります。どれも、頑張らなくていい過ごし方です。
5分でできること
引き出しをひとつだけ、開けてみるキッチンでも、デスクでも、玄関でも。いつも開けている引き出しを、今日だけは「中身と目を合わせるつもり」で開けてみる。ひとつだけ、よく働いてくれている道具に「ありがとう」と言ってみるのもいいと思います。
15分でできること
家の中で「ここは好きだな」と感じる場所を5枚、写真に撮ってみる。撮ってみてはじめて、自分が何を大切にしているかが見えてくることがあります。
60分でできること
いつも見送っている場所と向き合ってみるクローゼットの奥、本棚の下段、洗面台の引き出し、いつも「またそのうち」と思って通り過ぎている場所がありませんか。今日だけ、その場所と少しだけゆっくり向き合ってみる。動かす・動かさないは、決めなくて大丈夫です。
日本での広がりと、ICDコミュニティのこと
日本ではまだ「世界片づけの日」という言葉が広く認知されているとは言えません。でも、整理収納の専門家の間では、少しずつ、この日を意識する動きが広がってきています。
その背景にあるのが、JALO(日本ライフオーガナイザー協会)がIFPOA加盟団体として国際連携のなかにいること、そしてもう一つ、ICD(Institute for Challenging Disorganization)という国際的なコミュニティの存在です。ICDは、片づけが特にむずかしい状況にある人(慢性的に片づかない・ADHD傾向・ためこみ傾向など)に伴走する専門家のための国際機関で、本部はアメリカにあります。
JALO・ICDという二つの国際的なつながりを通じて、World Organizing Dayも日本に少しずつ届いてきています。
わたし自身、JALOの本部スタッフとしてCLO(Certified Life Organizer)プログラムのディレクターを務めながら、ICDのInternational Committee日本担当アンバサダーとしても関わらせていただいている立場から、この日が日本でも「やさしい記念日」として広がってくれたらいいな、と願っています。
5/20のあとに残るもの〜1年で一番やさしい片づけの記念日
正直に言うと、5月20日の1日だけで、何かが大きく変わるわけではありません。引き出しをひとつ開けたからといって、暮らし全体がすぐに整うわけでもない。
でも、年に1日、「物との関係を、ちゃんと見つめてみる日」が存在するということ自体に、わたしは意味があると思っています。
去年の5月20日に開けた引き出しを、今年もまた開けてみる。すると、不思議なことに、去年とは違う見え方になっていたりするんです。1年の間に、自分が少し変わっているから。
「世界片づけの日」は、急かす日でも、頑張る日でもありません。
来年の5月20日も、また一緒に、引き出しをひとつだけ開けてみませんか。
5月20日〜世界片づけの日(World Organizing Day)。
日本でも片づけ整理収納の業界団体がイベントを開催します。わたしも当日会場にいますので、会場でお会いできたら嬉しいです。

物との関係を見直すって、すぐに結果が出るものじゃないし、人に見せるものでもありません。だからこそ、こうやって世界中の人が同じ日にそっと立ち止まってみる、ということに、わたしはひそやかな喜びを感じます。
もしよかったら、この記事を読んでくれたあなたの「5月20日にやってみたこと」を、コメント等で聞かせてくれたら嬉しいです。
そして、もう少しゆっくり、暮らしと自分の関係について一緒に考えてみたい方は、講座等でもお会いできたらと思っています。

ライフオーガナイザー®として、特にADHD傾向のある方や片づけが苦手な方をサポート。完璧主義や罪悪感、思い込みなど、片づけの障害となる心理的要因に寄り添い、無理なく続けられる仕組みづくりを提案しています。
2012年からこの分野を学び、2023年にアメリカの専門団体「Institute for Challenging Disorganization®」にて日本人初のCPO-CDを取得。
「片づけの負担を減らし、自分らしい人生を楽しめる人を増やしたい」との思いで活動中。




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