家族と片づけの温度感がずれている、と感じたことはありませんか。
私は片づけたい、家族はそう思っていない。
そのずれにイライラしていた頃の私が、ある考え方に出会って楽になった話を、お伝えします。
休日のあるシーン。
私は片づけをしている、家族はソファでくつろいでいる。
「ねぇ、ちょっとくらい手伝ってくれてもいいんじゃない?」
口に出す前に、深呼吸する。
そんな経験、ありませんか。
──昔の私は、毎週末こうでした。そして毎週末、心の中で家族にイライラしていました。「なんで一緒にやってくれないの」「私ばっかり頑張っている」と。
今は、違います。家族との”温度感の違い”を、ある考え方で理解できるようになってから。
家族が片づけに協力しないのは、「やる気の差」ではないかも
家族は本当に、やる気がないのでしょうか。
「私は片づけたいのに、家族は何もしてくれない」
そう感じるとき、私たちはどうしても「やる気がない」「怠けている」と判断してしまいがちです。
でも、観察してみると、家族は「散らかっていることが見えていない」のかもしれない。あるいは、「今、別のことに気持ちが向いている」だけかもしれない。
やる気の問題ではなく、“今”のフォーカスの違い。
このことに気づくと、家族へのまなざしが少し柔らかくなります。
家族にイライラしてしまう感情の構造については、ライフオーガナイザーはストレス上手という記事でもお話ししているので、よかったら覗いてみてください。
「変化の段階」という、家族と私のモノサシ
心理学者のジェームズ・プロチャスカが提唱した「変化の段階モデル」という考え方があります。
人が行動を変えるとき、いきなり変われるわけではなく、6つの段階を経るというものです。もともとは禁煙やダイエットなどの研究から生まれた理論ですが、片づけにも応用できる、とても興味深い考え方です。
ざっくりお伝えすると、こんな段階です。
- 関心がない段階──変える必要を感じていない。
- 気にしはじめた段階──そろそろ何とかしたい、と思いはじめる。
- 準備をしている段階──近いうちに動こうとしている。
- 動きはじめた段階──実際に取り組み始めている。
- 続いている段階──取り組みを続けている。
- すっかり日常になった段階──意識せずに続いている。
大切なのは、段階に上下はないということ。それぞれに、それぞれの”今”があるだけです。
片づけたい私と、片づけない家族は違う段階にいた
この考え方を知ったとき、私はハッとしました。
当時の私は、「動きはじめた段階」か「続いている段階」のあたりにいました。ライフオーガナイズを学び、片づけに本腰を入れて取り組み始めていた頃です。
一方、家族は──思い返してみると、「関心がない段階」か、せいぜい「気にしはじめた段階」でした。家族にとっては、家の状態は「困っていない」レベルだったのです。
そう気づいたとき、何が起きていたかが見えました。
私は、「動きはじめた段階」の自分と、「関心がない段階」の家族を、同じテーブルに乗せて「一緒にやろう」と言っていた。
それは、マラソンの途中の人と、まだスタート地点にも来ていない人を、同じペースで走らせようとするようなものでした。
家族が「動かなかった」のではない。そもそも、走り始める準備ができていなかったのです。
家族と自分の”今”がずれている、という感覚は、1人1人にあったやり方”とライフオーガナイズという記事でも触れています。一人ひとりに、それぞれの”今”があるという視点です。
家族を「同じ段階にする」のを、やめてみる
ここで大切なのは、家族を自分と同じ段階に引き上げようとしないこと。
「私はもう走り始めているのだから、あなたも一緒に走って」
これは、家族の“今”を尊重しないことになります。
プロチャスカの理論では、無理に段階を飛ばそうとすると、むしろ抵抗が強くなると言われています。実感としても、説得すればするほど家族は閉じていく、という経験のある方は多いのではないでしょうか。
段階が違うのは、能力の差でも、愛情の差でもありません。”今”が違うだけ。
ライフオーガナイズが大切にしている「人が主役」という考え方は、ここにもつながります。家族一人ひとりに、それぞれの今があり、それぞれのペースがある。それを尊重することが、整える暮らしの土台になります。
この「人が主役」の考え方については、モノを減らして整える”だけ”では何も変わらないという記事でも書いています。
違う段階の家族と、片づけながら暮らすコツ
それでも、「整えたい私」は確かにここにいる。家族の段階を尊重しつつ、自分の整える暮らしを進めるには、どうしたらいいでしょうか。
私が実践してみて、しっくりきた3つのヒントをお伝えします。
① 自分の段階で、自分のことから整える
家族のモノを動かそうとせず、まずは自分のモノ、自分のスペースから。これだけでも、家全体の空気は確かに変わります。家族のモノに手を出さない、という選択は、相手の”今”を尊重することにもつながります。
② 家族の段階を観察する
家族の何気ない一言に耳を傾けてみる。「最近、リビングが狭く感じる」とつぶやいたら、それは”気にしはじめた段階”の入り口かもしれません。タイミングは、こちらが急かさなくても、必ずやってきます。
③ 押しつけずに、見せていく
整っていく自分の空間を、ただ見せていく。「これ、やってみたら気持ちよかったよ」と一言添えて。説得ではなく、選択肢として置いておく。これは、習慣を変えていく上でも効果のあるアプローチで、“習慣を変えるコツ”とライフオーガナイズという記事でも触れています。
家族が動き出すかどうかは、家族のタイミングです。
家族との違いを、片づけ始めの入り口に
家族との温度感のずれは、悪いことじゃない。それぞれが、それぞれの“今”を生きているから。
「変えよう」ではなく「理解しよう」というまなざしになるだけで、家の中の空気は確かに変わります。そして、自分自身の整える暮らしも、無理なく続いていくようになります。
ライフオーガナイズの考え方は、そのまなざしを育てるための地図のようなものだと、私は思っています。
整える暮らしの伴走、ご相談ください
HABITUSMILE(ここらくオーガナイズ)では、ご家族との温度感のずれも含めて、暮らしを整える伴走を行っています。
「家族と一緒にどう進めたらいいかわからない」「自分だけが先走っている気がする」──そんなお気持ちのまま、ご相談ください。
▼ サービスの詳細はこちら
サービスページを見る
▼ シリーズ次回予告
第2弾「家族が片づけに協力しないとイライラする方へ|温度差を解消する考え方」(近日公開)

ライフオーガナイザー®として、特にADHD傾向のある方や片づけが苦手な方をサポート。完璧主義や罪悪感、思い込みなど、片づけの障害となる心理的要因に寄り添い、無理なく続けられる仕組みづくりを提案しています。
2012年からこの分野を学び、2023年にアメリカの専門団体「Institute for Challenging Disorganization®」にて日本人初のCPO-CDを取得。
「片づけの負担を減らし、自分らしい人生を楽しめる人を増やしたい」との思いで活動中。




コメントを残す