夏は、なんだか片づけたくなる季節です。衣替えのタイミングだし、子どもは夏休みで家にいる。よし、やるか、と思って手をつける。なのに、すぐ止まる。
衣替えなら、一着手に取るたびに「これ、どうしよう」で固まる。子ども部屋なら、何から触っていいか分からない。
止まる理由は、だいたい同じです。全部を、一着ずつ、一つずつ、その場で判断しようとするから。
これをやると、必ずエネルギー切れになります。大きく分けてから、軸を当てる。順番を変えるだけで、ずいぶん楽になるんです。
衣替えで服が減らせないのは、判断の順番のせい
クローゼットの前で立ち尽くして、結局なにも減らせなかった。そういう経験、ありませんか。
これは、片づけのセンスがないからではありません。最初から一着ずつ「いる? いらない?」と判断しようとすると、誰でもエネルギーが切れます。判断は、回数を重ねるほど疲れて、質が落ちていく。だから、後半は「もう全部とっておこう」になってしまう。
順番を変えます。最初に細かく判断しない。まず大きく3つに分けて、それぞれに別の見方を当てていく。これだけで、最後まで判断の体力が持ちます。
衣替え:大→中→小で分ける
具体的に、衣替えを大→中→小でやってみます。
大分類:3つの山に分ける
まず、一着ずつの判断はしません。ざっくり、3つの山に分けます。
「今シーズン着る」山。「今は着ない(オフシーズン)」山。「もう着ないかも」山。この3つ。「一回でも袖を通すかな」と思ったら、迷わず着る山へ。ここでは、仕分けるだけ。手放すかどうかは、まだ考えません。
中分類:山ごとに、別の見方を当てる
3つの山ができたら、それぞれに違う軸を当てます。
着る山には、使う頻度。よく着る、たまに着る、シーズンに一回くらい。今は着ない山には、季節。次の出番がいつ来るか。「もう着ないかも」山には、好きかどうか、使っているかどうか。
同じ「分ける」でも、山によって当てる物差しが変わる。ここが大事なところです。
小分類:しまい方と、行き先を決める
最後に、もう一段細かく。よく着る服は、いちばん取り出しやすい場所へ。今は着ない服は、オフシーズン用の収納へ。「もう着ないかも」の服は、出口で分けるか、いったん保留へ回します。
「もう着ないかも」の服を、どうするか
3つの山のうち、いちばん手が止まるのが「もう着ないかも」の山だと思います。
ここで、無理に手放そうとしなくていいんです。
好きだけど、最近は着ていない服。これは、手放さなくて大丈夫。「好き」という気持ちは、立派な残す理由です。手放す数を競う必要は、まったくありません。
手放すと決めた服は、捨てるだけが選択肢ではありません。状態がよければ寄付、サイズの合う人がいれば譲る、価値があれば売る。捨てる以外の手放し方は、ほかの記事でくわしく書いています。
そして、どうしても決められない服。これは「保留」に置いて、次の衣替えでもう一度見ます。半年後に見たら、あっさり「もういいや」と思えることも、けっこうあるんです。
夏休みの子ども部屋:誰の物かで分ける
子ども部屋に入ると、いろんな物が混ざっています。子どもの物、いつのまにか親が置いた物、家族で使っていた物。まず、これを所有者で分けます。
子どもの物、親の物、共有の物。この3つ。
ここで大事なのが、子どもの物を、親が勝手に判断しないことです。「これ、もういらないでしょ」と親が決めてしまうと、子どもは自分のテリトリーを侵された気持ちになります。あとで「あれ、どこやったの」と揉める原因にもなる。
子どもの物は、子どもと一緒に決める。夏休みは、その数少ないチャンスです。
子どもと一緒に片づけるときのコツ
子どもと片づけるとき、つい「いる? いらない?」で迫ってしまいがちです。でも、二択で迫ると、子どもも大人と同じように止まります。
子どもにも、軸を足してあげるといいんです。
「いる? いらない?」ではなく、「これ、まだ使ってる?」「これ、好き?」と聞いてみる。問いを変えると、子どもなりに「これは使ってる」「これはもういい」と、答えを返してくれます。
そして、親が答えを決めない。子どもが選ぶのを、待つ。時間はかかります。でも、自分で選んだ物は、子ども自身が大事にします。選ぶ練習は、片づけの力そのものになっていきます。
夏に片づけた勢いを、次につなげる
夏のうちに、全部を終わらせようとしなくていいんです。
衣替えも子ども部屋も、一度で完璧にやろうとすると、息切れします。今年の夏は、ここまで。続きは、次の衣替えで、次の長い休みで。それでいいんです。
覚えておいてほしいのは、「大きく分けてから、軸を当てる」という順番ひとつ。これさえ手に持っておけば、衣替えでも、子ども部屋でも、来年の夏でも、同じように使えます。順番が、いちばんの道具です。
この片づけ方を、もっと知りたい方へ
「捨てるを起点にしない」という考え方を一冊にしたのが、前作です。
『捨てるからはじめない 片づけのプロは何を「捨てた」のか』(既刊・Kindle)
そして、今回お話しした「大→中→小」や「山ごとに軸を当てる」を、辞典のように引ける形にまとめたのが、次の本です。
『分類の軸辞典 ──片づけを制するものは、分けるを制す』(近日発売予定)
衣類のシーズン整理や、子ども部屋のシナリオは、第11章にそのまま収録しています。手順として書いてあるので、片づけながら開けます。発売前のお知らせや片づけのヒントは、メールレターでもお届けしています。

ライフオーガナイザー®として、特にADHD傾向のある方や片づけが苦手な方をサポート。完璧主義や罪悪感、思い込みなど、片づけの障害となる心理的要因に寄り添い、無理なく続けられる仕組みづくりを提案しています。
2012年からこの分野を学び、2023年にアメリカの専門団体「Institute for Challenging Disorganization®」にて日本人初のCPO-CDを取得。
「片づけの負担を減らし、自分らしい人生を楽しめる人を増やしたい」との思いで活動中。




コメントを残す