片づけには順番がある|頼れる家事支援とプロの伴走

「部屋がどうしても片づけられない」
「何度やっても、すぐにまた散らかってしまう」。

そう感じているとき、多くの人が、まず自分を責めてしまいます。でも、それは「だらしないから」「努力が足りないから」ではないかもしれません。この記事でお伝えしたいのは、片づけには順番があるということ。

そして、その順番のどこを、誰と一緒に整えていけるのか、という話です。読み終わるころには、「ひとりで全部抱えなくていいんだ」と、少し肩の力が抜けたら嬉しいです。

わたしはライフオーガナイザーとして、たくさんの「片づけられない」に向き合ってきました。その中で気づいたのは、片づけの悩みの奥には、性格や気持ちだけでは説明できない事情があることも多い、ということ。そして、つまずいている人ほど「順番を飛ばして、いちばん難しいところから始めようとしている」ことが多い、ということでした。

「片づけられない」は、努力不足じゃないかもしれない

片づけがうまくいかない理由は、人によって本当にさまざまです。忙しさや物の多さといった環境の事情もあれば、その人の特性が関わっていることもあります。

たとえばADHDなどの発達特性があると、「どこから手をつけたらいいか分からない」「やり始めても途中で別のことが気になる」「物を手放す判断がつかない」といったことが起こりやすい、と言われています。

大切にしたいのは、これは「100人いたら100通り」だということ。同じ「片づけが苦手」でも、その表れ方は一人ひとり違います。だからこそ、ベストセラーの片づけ本のとおりにできなくても、あなたが悪いわけではありません。気になることがあれば、医療機関や専門家に相談するという選択肢もあります。けれど、ここで急いで答えを出す必要はありません。

むしろ知っておいてほしいのは、片づけがうまくいかないのは「順番」のせいかもしれない、ということ。多くの片づけ術は「まず収納を」「とにかく減らす」から始まります。でも、その前にやることがあるのです。

片づけには順番がある「片づけピラミッド」という考え方

ライフオーガナイズや片づけ整理収納の業界では、片づけを「片づけピラミッド」という層で考えています。下から積み上げていく、家の土台のようなイメージです。

大きく分けると、ピラミッドは2つのグループでできています。

<暮らしの土台づくり>(ピラミッドの下半分・プロ=ライフオーガナイザーと整える)
1. 価値観の明確化(ライフオーガナイズの出発点)
2. 整理
3. 収納

<日々の維持>(ピラミッドの上半分・家事支援や家事代行と)
4. 片づけ
5. 整頓
6. 掃除

いちばん下の1.価値観の明確化(ライフオーガナイズの出発点)は、いきなり物を動かす前に、「自分や家族はどんな暮らしがしたいのか」「何を大切にしたいのか」という価値観を整えること。ここが、すべての土台になります。その上に2.整理(必要なものとそうでないものを分ける)、3.収納(残したものの置き場所を決める)が乗ります。

そして、土台の1〜3が整って初めて、その上の4.片づけ(出したものを使ったあとに戻す)・5.整頓(見た目もきれいにそろえる)・6.掃除(日々のきれいを保つ)という「日々の維持」が、無理なく回りはじめます。

逆に言うと、土台がぐらついたまま、いちばん上の「毎日きれいに保つ」だけをがんばろうとしても、なかなか続きません。片づけが続かないのは、意志が弱いからではなく、順番のせいかもしれない。そう考えると、少し気がラクになりませんか。

暮らしの土台づくりは、ライフオーガナイザーや片づけ整理収納のプロと一緒に

では、その土台をどう整えるか。1〜3、とくに1.価値観の明確化=自分や家族の価値観を整えるところは、ひとりで向き合うのがいちばん難しい部分です。「どんな暮らしがしたいか」と問われても、すぐには言葉にならない。それは、ごく自然なことです。

もし自力で進めるのが難しいと感じたら、ライフオーガナイザーと一緒に整えるという選択肢があります。ライフオーガナイズは、収納テクニックを教える前に、まず「あなたにとって心地いい暮らしとは何か」から考えていく片づけの考え方です。正解を渡すのではなく、あなたの中にある基準を一緒に見つけていく。だから、価値観を明確にする1から、2.整理・3.収納の仕組みづくりまで、土台全体に伴走できます。

とはいえ、ひとくちに「片づけのプロ」といっても、その中身はさまざまです。どんなタイプの人や業者に、どこを頼むのか。依頼する前に知っておきたいことを片づけのプロに依頼する前に|選び方の全チェックポイントにまとめているので、頼り先を選ぶときの参考にしてみてください。

ここを誰かと一緒に整えておくと、その上の「日々の維持」がぐっとラクになります。土台がしっかりしていれば、毎日のことは「元に戻すだけ」で済むようになるからです。

土台が整った“その先”に、頼れる選択肢がある

さて、ここからが今日いちばんお伝えしたいことです。

土台(1〜3)が整ったあと、ピラミッドの上半分にあたる「日々の維持」=片づけ・整頓・掃除を、自分ひとりで続けるのがどうしても難しい。そんなときに、家事支援や家事代行に頼るという選択肢があります。

ここで「順番」が、もう一度効いてきます。たとえば福祉の家事援助は、掃除・洗濯・調理・買い物・ゴミ出しといった「日常の家事」を手伝うのが中心です。一方で、長年たまったモノの大掛かりな整理や、不用品の処分、模様替えのような作業は、対象外とされることが多いと言われています。

つまり、土台(価値観の明確化・整理・収納)が無いまま日々の維持の支援だけを入れても、根本が片づいていないので回りにくいのです。だからこそ、土台はライフオーガナイザーと一緒に → その先の維持は家事支援や家事代行と。この順番でいくと、それぞれの支援がいちばん力を発揮してくれます。

では、その「維持を頼る」選択肢には、どんなものがあるのでしょうか。代表的な2つを見てみます。

選択肢①:福祉の「居宅介護(家事援助)」

ひとつめは、障害者総合支援法にもとづく「居宅介護(ホームヘルプ)」という福祉サービスです。その中の「家事援助」を使うと、ヘルパーさんに自宅へ来てもらい、掃除・洗濯・調理・買い物・ゴミ出しといった日常の家事を手伝ってもらえます。

大きな特徴は、所得に応じて費用が抑えられる仕組みだということ。経済的なハードルが理由で諦めていた方にこそ、知っておいてほしい選択肢です。ADHDなどの発達障害は、この制度では「精神障害」の枠で対象になり得ると言われています。ただし、実際に支給されるかどうか、どのくらいの時間が認められるかには自治体による差があるようです。「うちの地域はどうだろう」という確認も含めて、まずは相談から始めるのが安心です。

受け方の、おおまかな流れを整理しておきます(地域によって細かい運用は異なります)。

1. 状態の確認(手帳や医師の確認があるとスムーズ)
精神障害者保健福祉手帳を持っているとスムーズですが、手帳がなくても、医師の診断書などで対象と確認できれば相談・申請できる自治体もあるようです。「自分は対象になるのかな」と迷う段階でも、次のステップで相談して大丈夫です。

2. 市区町村の窓口や相談支援事業所に相談・申請する
入口になるのは、お住まいの市区町村の障害福祉課や、地域の相談支援事業所です。「片づけや家事が特性的に難しくて困っている」と伝えるところから始まります。何から話せばいいか分からなくても、職員や相談支援専門員が一緒に整理してくれます。

3. 障害支援区分の認定と、利用計画づくり
申請のあとは、どのくらい支援が必要かを見る調査(障害支援区分の認定)を受けます。あわせて、相談支援専門員が「サービス等利用計画」を作成します。これは、あなたの暮らしに合わせて「どんな支援を、どれくらい使うか」を組み立てる設計図のようなものです。なお居宅介護は、この区分の認定を受けたうえで支給される仕組みです。

4. 支給決定 → 事業所と契約 → スタート
これらを経て支給が決定され、サービスを提供する事業所と契約して、利用が始まります。費用は所得に応じた上限が設けられていて、相談の段階で目安を教えてもらえます。

制度のことなので、「こうすれば必ず使えます」とは言いきれません。けれど、「相談してみる」という選択肢はいつでもあります。具体的な条件は、お住まいの自治体や相談支援事業所にご確認ください。

選択肢②:民間の「家事代行」

もうひとつは、民間の家事代行サービスです。費用は基本的に自己負担になりますが、そのぶん手続きがシンプルで、地域を問わず頼みやすいのが魅力です。「制度の申請を待つあいだ、まず手を借りたい」「自分のペースで頼みたい」という方には、こちらが合うこともあります。

どちらが良い・悪いではありません。費用を抑えたいか、手軽さを取りたいか。あなたの今の暮らしに合うほうを選んでいい。ここでも「100人いたら100通り」です。

自立したお子さんを心配する親御さんへ

この記事を、ご自身のためではなく「離れて暮らす子どもが心配で」読んでくださっている方もいるかもしれません。一人暮らしを始めた我が子の部屋が、年々ものであふれていく。手伝ってあげたいけれど、いつまでも親が通うわけにもいかない。そんな思いを抱えている親御さんは、少なくありません。

そんなときも、ここまでお伝えした順番が役に立ちます。まず土台づくり(ライフオーガナイズ)を一緒に整える人がいて、その先の日々の維持を家事支援や家事代行が支える。親御さんにできるのは、本人の代わりに全部やってあげることではなく、「こういう道筋があるよ」と情報を渡すこと。そして必要なら、最初の相談に一緒に行くことです。窓口に足を運ぶ最初の一歩が、本人にとっていちばんの難所だからです。

本人が動きにくいときは、まず親御さんだけで相談支援事業所や自治体窓口に問い合わせてみるのも、ひとつの方法です。「本人が直接来ないと話せない」ということは基本的になく、状況を整理する相談から受けてもらえます。

頼ることは、自分の暮らしを「選ぶ」こと

片づけや家事を人に頼むことに、罪悪感を覚える方は多いです。でも、頼るのは「できない自分を認めること」ではありません。自分が無理なく暮らせる形を、自分で選ぶことです。

片づけには順番があって、土台はライフオーガナイザーと、その先の維持は家事支援や家事代行と。そんなふうに、どこを誰と整えるかを自分で選んでいけると知っているだけで、暮らしはずっと回りやすくなります。全部をひとりで抱え込むより、使える仕組みを上手に組み合わせたほうがいい。それは、弱さではなく、暮らしの設計です。

もし今、片づけのことでひとりで苦しくなっているなら、まずは土台の、いちばん下の一段=価値観の明確化から。「どんな暮らしがしたいんだっけ」と、自分に問いかけるところから始めてみてください。その先の道筋には、あなたを支えてくれる選択肢が、ちゃんと用意されています。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的な判断や、特定のサービス利用を保証するものではありません。発達特性に関する医学的な確認は医療機関へ、福祉制度の対象・費用・手続きの詳細はお住まいの自治体・相談支援事業所へご確認ください。制度の内容は地域や時期によって異なる場合があります。

整える暮らしの伴走、ご相談ください

HABITUSMILE(ここらくオーガナイズ)では、片づけの「いちばん下の一段」=価値観の明確化から一緒に向き合うお手伝いをしています。収納テクニックの前に、「あなたにとって心地いい暮らしとは何か」を見つけるところから。特性に合わせた仕組みづくりまで、あなたのペースで伴走します。

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吉村

ライフオーガナイザー®として、特にADHD傾向のある方や片づけが苦手な方をサポート。完璧主義や罪悪感、思い込みなど、片づけの障害となる心理的要因に寄り添い、無理なく続けられる仕組みづくりを提案しています。
2012年からこの分野を学び、2023年にアメリカの専門団体「Institute for Challenging Disorganization®」にて日本人初のCPO-CDを取得。
「片づけの負担を減らし、自分らしい人生を楽しめる人を増やしたい」との思いで活動中。