6.片づけが苦手・興味がないあなたへ|急かさない選択肢の話

「片づけ、まだやらなくていい」と思っているあなたへ。
急かしません、責めません。
ただ、いま思っていることを、否定しないでほしいだけのお話です。

SNSを開けば、「片づけ」の文字。
テレビをつければ、「整理収納」の特集。
友人と話せば、「最近こんまりにハマって」という話題。

世の中は、なんだか「片づけたほうがいい」という空気にあふれています。

でも、あなたは思う。
「私、別に片づけなくてもいいかな」
「困っていないし」
「こういうことに、興味が持てない」

そんなあなたに、まず伝えたいこと。
それは、その気持ちでいい、ということです。

──実は、私自身もかつて、そんな時期がありました。仕事と子育てに追われて、片づけのことなんて、考える余裕も興味もなかった。
「片づけなきゃ」とSNSの誰かが言っていても、心がまったく動かなかったのです。

「やらなくていい」と思える、その理由を尊重する

心理学者のジェームズ・プロチャスカが提唱した「変化の段階モデル」では、「関心がない段階(前熟考期)」が、変化の最初の段階として扱われています。

この段階の人は、変える必要を感じていません。
そして、変える必要を感じていないことには、ちゃんと理由があるのです。

  • 今、片づけより大切な何かと向き合っている
  • 暮らしの優先順位が、片づけ以外にある
  • これまでのやり方で、特に困っていない
  • そもそも、自分の興味と片づけは方向が違う

これらは全部、正当な理由です。
「やらなきゃダメ」と外から言われる筋合いのものではありません。

「やらなくていい」と思っている人を、急かしてはいけない理由

家族や友人から「片づけなよ」と言われたとき、心の中で何が起きているか。

「私のことなんてわかってない」
「うるさいな」
「言われるとよけいやりたくなくなる」

こんな反応が起きるのは、急かされたからです。
急かされた人は、その段階を出るどころか、もっと深くその段階に居座るようになります。

これは、感情の自然な動きです。
変えようとされた人は、変えないでいる自分を守ろうとする。
家族の反応については、ライフオーガナイザーはストレス上手でも触れています。

だから、家族や友人から「片づけたら?」と言われても、気にしなくていい。
そして、自分自身に対しても、急かさないでください

もし、何か変わるとしたら、それは「外」ではなく「内」から

「やらなくていい」と思っている人が、ある日「やってみようかな」と思う瞬間がある。
それは、ほぼ例外なく、外からの言葉ではなく、内からの気づきがきっかけです。

  • 家族との大切な時間に、家のことが気になって集中できなかった
  • 探し物をするうちに、なんだか気持ちが重くなっていた
  • 誰かの整った空間を見て、ふと「気持ちいいな」と感じた
  • 季節の変わり目に、なぜかモノを減らしたくなった

こういう、ふとした内側の動き
それが本当の「気にしはじめる」タイミングです。

そのタイミングが、3ヶ月後かもしれない。3年後かもしれない。
あるいは、来ないかもしれない。
どれであっても、あなたの暮らしが正しいのです。

「やらなくていい」と思える土壌を、大切に

「やらなくていい」と思える人は、ある意味で整っている人でもあります。

外の声に流されず、自分の優先順位を持っている。
これは、暮らしの土台として、とても大切な強さです。

その土壌を、急かして掘り返すよりも、そのまま大切にする
もし、内側から「変えてみようかな」と芽が出てきたら、そのときに自然に動き出せばいい。

植物が芽吹くタイミングを、土壌は知っています。
あなたの中の土壌も、必要なタイミングを知っています。

もし、いつか興味を持ってくれたら

このシリーズを書きながら、ずっと考えていたことがあります。
それは、「片づけは、人を選ぶものではない」ということ。

片づけが好きな人もいれば、興味のない人もいる。
整えるのが楽しい人もいれば、面倒に感じる人もいる。
どれが正解、どれが不正解、というものではありません。

もし、いつかあなたが「ちょっと興味あるかも」と思った日が来たら。
このシリーズが、その入口になれたらうれしいです。

でも、急がなくていい。
無理しなくていい。
あなたが、あなたのままでいられる暮らしが、いちばん大切です。

「人が主役」というライフオーガナイズの根っこの考え方は、ここに繋がっています。
整えるかどうか、整え方をどうするかは、その人自身が決めること
このことについては、モノを減らして整える”だけ”では何も変わらないでもお伝えしています。

シリーズを終えて。

この6本のシリーズを通して、お伝えしたかったこと。

それは、暮らしや家族や自分には、それぞれの「今の段階」がある、ということ。

段階は、上下のあるものではありません。
段階は、目指すべきゴールでもありません。
段階は、ただ「今、ここにある状態」です。

その「今」を否定せずに、ただ眺める。
そこから、何かが変わるかもしれないし、変わらないかもしれない。
どちらでも、いいのです。

あなたの暮らしが、あなたにとって心地よくありますように。
シリーズを最後まで読んでくださって、ありがとうございました。


整える暮らしの伴走、ご相談ください

HABITUSMILE(ここらくオーガナイズ)では、「いつか整えてみたいかも」と感じた方の最初の一歩に伴走しています。
急かさず、責めず、その人にとっての心地よい暮らしを一緒に考えます。
「ちょっと話を聞いてみたい」というだけでも、ご相談ください。

▼ サービスの詳細はこちら
サービスページを見る

▼ プロチャスカ6本シリーズ・全記事リンク
第1弾:家族が片づけに協力しないとイライラする方へ|温度差を解消する考え方
第2弾:「片づけたい」のにやる気が出ない理由とその育て方
第3弾:片づけが始められない人へ|「明日からやる」の壁を超える3つのコツ
第4弾:片づけが続かない人のための、続けるコツ|失敗を前提にした習慣づくり
第5弾:片づけの維持が難しい方へ|リバウンドしない暮らしの作り方
第6弾:片づけが苦手・興味がないあなたへ|急かさない選択肢の話

吉村

ライフオーガナイザー®として、特にADHD傾向のある方や片づけが苦手な方をサポート。完璧主義や罪悪感、思い込みなど、片づけの障害となる心理的要因に寄り添い、無理なく続けられる仕組みづくりを提案しています。
2012年からこの分野を学び、2023年にアメリカの専門団体「Institute for Challenging Disorganization®」にて日本人初のCPO-CDを取得。
「片づけの負担を減らし、自分らしい人生を楽しめる人を増やしたい」との思いで活動中。