家事ができないときのやり方。全部やらないで一日を回す順番 HT02

家事ができないときのやり方。全部やらないで一日を回す順番

朝が、いちばん動けません。目覚ましは聞こえているのに体が起きてこなくて、起き上がるころにはもう家を出る時間です。洗濯機を回すつもりだった朝の予定は、そのまま夜に持ち越しです。

昼を過ぎたあたりから、少しずつ体が追いついてきます。夕方になるとようやく頭がはっきりして、やっと家事に手が伸びる。ところがそこから調子が上がるので、夜になって「まだあれをやっていない」という気持ちが出てきて、気づくと日付が変わっています。寝るのが遅いから朝が起きられない。朝が起きられないから、一日の始まりがもう疲れている。一日がそうやって後ろにずれていきます。

オーガナイズの現場で伺うお宅には、この形の方がとても多いです。特性のある方は夜型の生活になりやすいと言われますし、私が見てきた範囲でもそうでした。朝型の人と同じ時間割で家事を組んで、できないと言っている。手際が落ちているのではなくて、体が動く時間と、家事をしようと思っている時間が合っていません。

手際の問題に見えて、置く時間と量の問題

家事が回らない日が続くと、たいていの人が自分の段取りを疑います。朝のうちに済ませておけば回るはずだと考えるからです。

ただ、世の中の家事の時間割は朝型の人向けにできています。朝に洗濯を干して、午前中に掃除をして、夕方に料理をする。この並びは、朝から体が動く人にはよくできた順番です。朝に動けない人が同じ並びで始めると、最初の家事を落としたところから一日が始まります。夕方に調子が上がったころには、朝の分と夕方の分が両方そこに置いてあります。

一人に寄っていく量そのものについては家事ができないストレスの正体に書きました。誰がどれを持つかという配分の話はそちらをご覧ください。

量を減らさないまま朝に無理をすると、調子がいい日はなんとかなって、ない日は全部こぼれます。できなかった日のほうだけが記憶に残る。直すところは朝に起きる努力ではなく、どの時間に何をいくつするのかのほうです。

紙を1枚出して、一日を朝・昼・夕方・夜に分けて、体が動き出す時間帯に印をつけてみてください。夕方に印がつく人は、そこが家事の時間です。いま朝に置いてある家事を書き出すと、たいてい3つか4つ並びます。それが動かす候補です。

一日を回す最小の家事を、3つだけ決める

全部やる前提で組むから、どこまでやっても「まだ残っている」になります。夜ふかしの元はたいていこれです。先に数を決めてしまえば、そこで終われます。

決め方は明日の朝から逆算します。明日の朝これがないと困るものを挙げると、たいていは食べるものと着るもの、それに座る場所が空いていることの3つです。その3つに当たる家事が今日の最小セットです。朝に起きられない人ほど、何もしなくても出られる状態を夜のうちに作っておくほうが回ります。

あるお宅で決めた3つは、夕飯をどうにかする・洗濯機を回す・寝る前にテーブルの上だけ空ける、でした。夕飯は作るとは限りません。買ってきたものを皿に出すのもこの3つのうちに入ります。洗濯は夕方に回して夜のうちに干すところまでにして、畳むのは翌日の夕方へ送りました。朝にすることは、干してある服を取って着るだけです。

中身は家によって変わります。小さいお子さんがいればお風呂が入りますし、一人暮らしなら洗濯は2日に1回で足りることもあります。

3つ以外をやってはいけない、という話ではありません。余力がある日はやればいいし、やらなかった日に減点もしません。数えるのは3つだけです。

紙に3つ書いて、冷蔵庫でもキッチンの壁でも、立ったまま目に入る場所に貼っておきます。頭の中に置いておくと、夜に「まだ何かあった気がする」が出てきます。3つに印がついていれば、今日はもう終わっています。

やらないことを先に決める

減らすのは「やること」ではなく、その中の工程です。家事の一つは、たいてい3つか4つの動作でできています。どれを外すかを先に決めておけば、調子が上がってきた夜に勢いで全部やってしまわなくて済みます。

朝にやらない

朝に置いてある家事を、夕方以降へ移します。ゴミ出しのように朝にしかできないものは、前の夜に袋を玄関まで出しておくところまでを家事にして、朝は持って出るだけにします。朝に残すのは「出るだけ」です。

畳まない

洗濯は洗う・干す・畳む・しまうの4工程です。後ろの2つほど後回しになって、リビングに山ができます。畳む工程を丸ごと外してしまう手があります。ハンガーに掛けたまましまってもいいし、下着と靴下はかごに放りこむだけでもかまいません。あるお宅では人数分のかごを廊下に並べて、乾いたものを名前のかごに入れるところを洗濯の終わりにしました。そこから先は各自が持っていきます。

毎日やらない

掃除機を毎日かける前提を持っていると、かけなかった日が全部「できなかった日」になります。曜日を決めてしまうほうが楽です。月曜と金曜にかけると決めた時点で、火曜にかけないのは失敗ではなくなります。決めないまま毎日数えるのがいちばん消耗します。

決めた形が数日で元に戻ることもあります。戻るのは意志が弱いからではなく、片づけた形が元に戻る仕組みに理由があります。

家事は時間ではなく、行動に紐づける

「夕方6時に洗濯機を回す」と決めても、たいてい守れません。6時に時計を見ていないからです。夜型の人は調子が上がってくる時間がその日によって動くので、時計で決めるとなおさらずれます。

合図にするなら、すでに毎日やっている行動のほうが確実です。

  • 帰ってきて着替えたら、脱いだ服をそのまま洗濯機に入れてスタートを押す
  • お湯を沸かしているあいだに、シンクの食器を食洗機に入れる
  • 録画したドラマを再生したら、かごから洗濯物を出す
  • 歯を磨いたら、明日のゴミ袋を玄関に出す

選ぶなら、何年も続いている行動のほうです。先月始めたばかりの習慣にくっつけると、元の習慣ごとくずれます。

夜型の人には、始める合図より終わる合図のほうが要ります。調子が上がった勢いで次々に手を出すと、やり残した気持ちは消えないまま時間だけが過ぎます。3つに印がついたら、そのあとに何か思いついても紙の裏に書くだけにして、手は出さない。書いたから明日の自分がやる、で寝てしまいます。終わりの合図も、歯磨きのような毎晩の行動にくっつけておくと守りやすいです。

それでも最初の一歩が出ないときは、始まり方の仕組みに理由があります。始められないときの脳のエンジンのかかり方に書いたとおり、やる気の量ではなく切り替えのほうでつまずいていることが多いです。

決めた組み合わせを紙に書き出して持つやり方はアナログの書き出しから始めるタスク管理にまとめてあります。今日やるなら、毎日必ずやっている行動を一つ選んで、その後ろに家事を一つくっつけるところまでです。

道具と仕組みで減らす

道具は、速くするためではなく工程を消すために選びます。

掃除道具を使う場所に置けば「取りに行く」が消えます。洗剤やスポンジの替えを1か所にまとめれば「探す」が消えます。乾燥機は「干す」を、炊飯器の予約は「朝に起きて作る」を丸ごと引き受けてくれます。朝に動けない人ほど、朝の工程を機械に渡したときの効きが大きいです。

逆に、収納用品を買い足したのに物が戻らないお宅はとても多いです。増えたのは入れ物だけで、工程は一つも減っていません。買う前に「これで何が消えるか」を一言で言えるかどうかが目安です。言えないなら、その道具はまだ要りません。

道具の選び方そのもので迷うときは実行機能を補うグッズ・アプリの選び方が近いです。家事より先に予定が頭から抜けるほうが困っているなら、スケジュール管理のアナログとデジタルの使い分けを先に読んでみてください。

今日できるのは、よく使う道具を一つ、使う場所へ移すことです。

人の手を借りる順番

借りるのは最後の手段ではなく、3番目くらいに出てくるふつうの選択肢です。

1つ目は、家の中でもともと一緒のものを一緒にやる形に戻すことです。洗濯物は自分のかごから持っていく、出かける人が玄関のゴミ袋を持って出る、くらいの小ささから始まります。朝に動ける人が家に一人いるなら、朝の工程はその人に寄せるほうが家全体では回ります。

2つ目は、お金で工程を買うことです。ネットスーパーで運んでもらえば買い物と持ち帰りが消えますし、できあいのおかずを1品足せば調理が一つ減ります。

3つ目が、人に来てもらう形です。福祉の制度で受けられる家事支援と民間の家事代行では、使える条件も頼める範囲も違います。どちらがどういうときの選択肢になるかは福祉の家事支援と家事代行という選択肢に書きました。

どれを借りるかは、いちばん苦しい工程から選びます。週に1回、乾いた洗濯物を畳んでしまうところだけを頼んで、それで平日が回りはじめた方がいました。全部を頼まなくても、そこが一つ抜ければ一日は回ります。

最小の3つをどれにするかも、どの工程をやめるかも、自分の一日だと決めきれないことがあります。はじめの一歩プランはオンラインでも受けられるので、家を見せていただく必要はありません。写真を送っていただくこともしていません。いまの一日の流れを言葉で話してもらって、最小の3つとやめる工程を一緒に決めます。1回11,000円です。

人と話すところまでいかなくていいなら、メールレターを読んでみてください。30日で6通、片づけが続かない仕組みと、始めるときの手順を書いています。

吉村 あきこ

ライフオーガナイザー®として、特にADHD傾向のある方や片づけが苦手な方をサポート。完璧主義や罪悪感、思い込みなど、片づけの障害となる心理的要因に寄り添い、無理なく続けられる仕組みづくりを提案しています。
2012年からこの分野を学び、2023年にアメリカの専門団体「Institute for Challenging Disorganization®」にて日本人初のCPO-CDを取得。
「片づけの負担を減らし、自分らしい人生を楽しめる人を増やしたい」との思いで活動中。

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