「片づけられない」と言っても、詰まっている場所は人によって違います。
手をつけられないまま何日も過ぎる。始めたのに、気づくと関係のない引き出しを開けている。一度片づいたのに、数日で元に戻る。一つの物を手に持ったまま、決められずに置き直す。洗濯と食事だけで一日が終わって、片づけまで届かない。
どこで止まっているかで、やることは変わります。始められない人に収納の作り方を説明しても手は動きませんし、すぐ元に戻る人に「まず全部出す」と伝えると、前より散らかった床の上で力尽きます。
片づけの「できない」は一つじゃない。対処は「どこで困るか」から決める
オーガナイズサポートで伺うと、「片づけられなくて」と最初におっしゃる中身が一軒ごとに違います。同じ言葉でも、止まっている場所が別なんですね。
始められない
やることは分かっていて、収納用品も買ってある。それでも手が動かないまま夕方になる。取りかかれないのは意志が足りないからではなく、最初の一歩が大きすぎるからです。引き出し1段だけ、5分だけというところまで単位を小さくすると手が動きます。予定ややること自体の管理でこぼれているなら、ADHDのタスク管理に方法を書いています。
途中で止まる
始めたのに、出てきた写真を眺めていたり、別の部屋を片づけていたりする。途中で逸れるのは、作業中に目に入った物へそのつど反応が起きるからです。集中力という一語でまとめられる話ではありません。片づける場所の外に物を運ばないと決めておくだけでも、脱線は減ります。
元に戻る
1週間もたたないうちに、元の状態へ戻っています。戻るのは置き場所が使う場所から遠いときと、しまうまでの動作が多いときです。扉を開けて、箱の蓋を取って、中に入れる。この3つのうち一つ減るだけで戻り方が変わります。
物の前で決まらない
手に持ったまま、残すか手放すかが決まらない。迷う理由は物の種類によって違うので、決め方もそれぞれ分かれます。子どもの服で止まる人と書類で止まる人では、必要な基準が別物です。
家のことが回らない
食事と洗濯だけで手いっぱいで、部屋のことは後回しになります。この状態で収納を作り直しても、回らないものは回りません。先に見るのは家事の量と順番のほうです。
こういう詰まり方が起きる仕組みを知りたい人は、実行機能と片づけの関係にまとめています。仕組みが分からなくても手当ては始められるので、気になる場面のところから読んでもらってもかまいません。
部屋そのものが、行動と合っていないとき
帰ってきて、鞄を持ったまま置く場所が決まらずに立ち止まる。決まっていない物は、その日いちばん近い床に置かれます。翌日には別の物が重なって、どかす作業から始めることになります。
伺ったお宅で多いのは、玄関からソファまでの通り道に物が並んでいる形です。帰ってから座るまでのあいだに手を離した物が、そのまま道に残っています。散らかっているというより、体の動きと置き場所の位置が合っていません。
直すときは、片づける順番より置き場所の位置から決めます。帰宅して最初に手を離す物を一つ決めて、そこに空の箱を一つ置く。今日はそこまでをやってみてください。置き場所ごとの決め方はADHDの部屋づくりと置き場所の決め方に書きました。
物の前で手が止まるとき
物の種類ごとに、手が止まる理由が違います。同じ「捨てられない」でも必要な基準が別なので、分けて考えたほうが早いです。
子どもの服で止まるのは、服よりその服を着ていた時期を手放す気がするからです。全部残すか全部手放すかの二択から降りて残す数を先に決めると、選べるようになります。やり方は子供服が捨てられない心理と残す数の決め方にあります。
本は、中身やこれから読むつもりを一緒に手放す気がして止まります。未読の本と読み終わった本と、また引く資料では手放しにくさの理由が違うので、分けてから基準を作ります。本が捨てられない心理で種類別に書きました。
書類は、あとで困るのが怖くて止まります。また手に入る紙かどうかで分けると判断が軽くなるので、読んでから決めるのをやめて先に分けます。書類が捨てられないときの残す基準に手順があります。
ぬいぐるみは、顔があるものを物として扱いにくいので止まります。増え方に自分の意思が入っていないことも多くて、選んだ覚えのないものが増えていきます。残す数の決め方と渡し先の考え方はぬいぐるみが捨てられない心理に書きました。
4種類とも家にあるなら、今日はどれか1種類だけ決めてください。同じ日に全部やると、途中から判断が鈍って手が止まります。
家のことが回らないとき
夕方になると立ち上がれなくなって、洗い物も洗濯物もそのまま朝になる。家事が詰まっているあいだ、片づけはずっと後ろに回り続けます。この状態で収納を作り直しても、使う体力が残っていません。
先にやるのは、一日を回す最小の家事を決めることと、やらないことを決めることです。うちは畳まない、これは毎日やらない。決めた分だけ手が空きます。順番の作り方は家事ができないときのやり方に書きました。
家事の量が一人に寄っているときは、やり方を変えても追いつきません。量の偏りのほうの話は家事ができないストレスの正体にあります。
予定ややることを覚えていられなくてこぼれるなら、アナログとデジタルを組み合わせた予定の管理と発達特性に合わせたタスク管理グッズが使えます。道具は、覚えておく仕事を頭から外すために使います。
自分を責める声が先に来るとき
物より先に「だらしない」「甘え」という言葉が出てくると、手を動かす前に体力が減ります。伺ったお宅でも、引き出しを開けるより先に「私、だらしないですよね」とおっしゃる方がいます。
どうしてADHDだと片づけが進まないのか、それは甘えなのか。この問いはADHDの片づけが「甘え」と言われるのはで扱っています。部屋の状態と自分の心の状態が重なって見えるときは、散らかった部屋は心を映す鏡じゃないを読んでみてください。頭のどこかに「ゴミ屋敷」という言葉があるなら、「ゴミ屋敷」と呼ばれる状態の背景のほうが近いと思います。
片づかない状態が何年も続いていて、自分の工夫では抜けられない感覚があるなら、慢性的に片づけられない状態についての説明も見ておいてください。やり方の話とは別に、状態そのものを知るほうが先になることがあります。
どこから始めるか決まらないときは
全部が当てはまって選べないときは、この1週間でいちばん困った場面を一つだけ思い出してください。朝の玄関なのか、夕方の台所なのか。その場面に出てきた物と場所が、今週の入口になります。
順番に読みながら進めたい人には、30日で6通のメールレターがあります。片づけの手前にある考え方と、脳の実行機能の話を少しずつ送っています。
10月3日に発売した『片づけられない自分を、だめだと思う前に』では、「だらしない」「ADHDだから」を含む13の言葉がどこから来たのかを一つずつ読み解いています。手より先に責める声が来る人は、そちらから読んでもらってもかまいません。
一人で順番を決めるのが難しいときは、はじめの一歩プランで一緒に決められます。オンラインで話すだけなので、家を見せる必要も写真を送る必要もありません。1回11,000円です。

ライフオーガナイザー®として、特にADHD傾向のある方や片づけが苦手な方をサポート。完璧主義や罪悪感、思い込みなど、片づけの障害となる心理的要因に寄り添い、無理なく続けられる仕組みづくりを提案しています。
2012年からこの分野を学び、2023年にアメリカの専門団体「Institute for Challenging Disorganization®」にて日本人初のCPO-CDを取得。
「片づけの負担を減らし、自分らしい人生を楽しめる人を増やしたい」との思いで活動中。




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